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【2020】誰が読んでも間違いなく面白いおすすめ小説ランキング

 

読書好きの私が今まで読んだ本の中で、読みやすさ・面白さ・読後感など様々な観点から総合的に見て「この本はぜひ多くの人に読んでほしい!」と思った小説をジャンル問わず紹介したいと思います。

 

 

あくまで私の個人的な評価ではありますが、この中からあなたのお気に入りの本がきっと見つかるはずですよ!また、今回取り上げる本は文庫版で発売されている作品がほとんどなので気軽に買って読んでもらえる作品ばかりです。

 

今回、一つの目安としてS、A+、Aの3つに分けてランク付けさせてもらいましたが、小説の面白さはランキングで定量的に測れるものではないですし、あまり気にせず順不同として読んでいただいても問題ありません。皆さんの小説探しの参考にしていただければ幸いです。

 

 

面白さAランク

光るものを持った粒ぞろいの小説を中心に選定。少し風変わりな小説から賛否両論あるものまで。もちろん読んで後悔はさせませんよ。

 

 

 

夢をかなえるゾウ

過去にドラマ化もされた水野敬也のベストセラー自己啓発系小説。少し変わったゾウの神様がさまざまな願いをかなえてくれる...わけではなく、冴えない自分を変えるために様々な助言を与えてくれます。啓蒙書のエッセンスが入った堅苦しくないゾウと僕の物語。

 

「お前なぁ、このままやと2000%成功でけへんで」 

ダメダメなサラリーマンの前に突然現れた関西弁を喋るゾウの姿をした神様“ガネーシャ”。 成功するために教えられたことは「靴をみがく」とか「コンビニで募金する」とか地味なものばかりで…。
夢をなくした“僕”と史上最悪の“師匠”が繰り広げる、「笑って」「泣けて」「ためになる」実用エンタテインメント小説。

 

 

コンビニ人間

コンビニバイトを通して人間の生き方を問いかける第155回芥川賞受賞作品。歴代の芥川賞受賞作の中でもトップクラスの読みやすさで万人におすすめできる内容です。「普通」になれない主人公のリアルな悩みに共感できる人も多いはず。

 

36歳未婚女性、古倉恵子。 大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。 これまで彼氏なし。 オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、 変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。 日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、 清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、 毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。 仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、 完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、 私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。 

 

 

かがみの孤城

不登校の主人公がリアルとファンタジーの間で苦しみながらも成長していく姿を描いた辻村深月の本屋大賞受賞作品。丁寧な心理描写とどこか温かみのある筆致が読者の心をつかむ人気作です。少し重いテーマですが、暗くなりすぎることなくスムーズに感情移入できるので万人におすすめできる作品だと思います。

 

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

 

 

R帝国

絶対的な権力を持つ党が支配する近未来の国家の行く末を描いた中村文則の話題作。現代の社会が抱える問題点を克明に描き出し、大衆の心理やメディアの煽動など様々な問題提起をしている作品でもあります。情報化社会の中で私達の国家はどこへ向かうのか、深く考えさせられます。

 

舞台は近未来の島国・R帝国。ある日、矢崎はR帝国が隣国と戦争を始めたことを知る。
だが、何かがおかしい。
国家を支配する絶対的な存在″党″と、謎の組織「L」。
やがて世界は、思わぬ方向へと暴走していく――。
世界の真実を炙り出す驚愕の物語。

『教団X』の衝撃、再び! 全体主義の恐怖を描いた傑作。

 

 

羊と鋼の森

ピアノ調律師に憧れる主人公の成長を描いた宮下奈都の代表作。温かい雰囲気と爽やかな筆致が特徴の作品です。文学としての評価も高く、読んでいて心地の良い文章とでも言うのでしょうか、そういった部分でも作者の才能が光る一作です。

 

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく―。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。

 

 

君の名は。

人気アニメーション作家、新海誠の青春小説。登場人物の距離感を描く描写が秀逸で、透き通ったような美しい世界観が魅力。癖のない爽やかな筆致が読者の心を掴む少年少女たちのストーリー。小説版も非常に完成度が高いので、映画を見た人にもそうでない人にもおすすめです。

 

山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが―。出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。

 

 

 

空飛ぶ広報室

人気作家有川浩が描く航空自衛隊を舞台にした夢と成長の物語。名前の売れている作家が自衛隊にスポットを当てた小説を書くことはなかなか珍しいですが、内容もしっかり筋の通った気持ちの良い読後感の意欲作。

 

不慮の事故で夢を断たれた元・戦闘機パイロット・空井大祐。異動した先、航空幕僚監部広報室で待ち受けていたのは、ミーハー室長の鷺坂、ベテラン広報官の比嘉をはじめ、ひと癖もふた癖もある先輩たちだった。そして美人TVディレクターと出会い……。ダ・ヴィンチの「ブック・オブ・ザ・イヤー2012」小説部門第1位のドラマティック長篇。

 

 

しあわせの理由

オーストラリア出身のSF界の大御所グレッグ・イーガンのハードSF小説。海外のSF小説は読み慣れていないと難しい作品が多い中で、本作は400ページの中に9編を収録した短編集となっているため普段SF小説を読まない人でも気軽に名作が読める良書。

 

12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくはいつもしあわせな気分でいるようになった…脳内の化学物質によって感情を左右されてしまうことの意味を探る表題作をはじめ、仮想ボールを使って量子サッカーに興ずる人々と未来社会を描く、ローカス賞受賞作「ボーダー・ガード」、事故に遭遇して脳だけが助かった夫を復活させようと妻が必死で努力する「適切な愛」など、本邦初訳三篇を含む九篇を収録する日本版オリジナル短篇集。

 

 

 

黒冷水

「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞し一躍有名となった羽田圭介のデビュー作。デビュー当時が17歳とは思えないほど切れ味とえぐみのあるブラックテイストの小説となっています。著者の才能の片鱗を見せつけた怪作。

 

兄の部屋を偏執的にアサる弟と、罠を仕掛けて執拗に報復する兄。兄弟の果てしない憎しみは、どこから生まれ、どこまでエスカレートしていくのか?出口を失い暴走する憎悪の「黒冷水」を、スピード感溢れる文体で描ききり、選考委員を驚愕させた、恐るべき一七歳による第四〇回文藝賞受賞作。

 

 

帰ってきたヒトラー

現代社会にヒトラーが突然現れたらどうなる?という独創的な題材がベストセラーとなったドイツ発の風刺エンターテイメント小説。全編を通して軽快なノリと笑いが駆け抜けていくなかで、しっかりと問題提起も行われていて考えさせられます。ブラックユーモア小説がお好きな方におすすめ。

 

ヒトラーが突如、現代に甦った!周囲の人々が彼をヒトラーそっくりの芸人だと思い込んだことから勘違いが勘違いを呼び、本当のコメディンにさせられていく。その危険な笑いで本国ドイツに賛否両論を巻き起こした問題作。本国で二五〇万部を売り上げ、映画は二四〇万人動員、世界四二言語に翻訳された空前のベストセラー小説の待望の文庫化。

 

 

 

ジョーカー・ゲーム

人気ミステリー作家柳広司のスパイ小説。切れ味鋭い登場人物たちの掛け合いが癖になる短編集です。非常に読みやすいライトなテイストで書かれているため、空いた時間に気軽に読めるミステリー作品としてもおすすめの一作。

 

五感と頭脳を極限まで駆使した、 命を賭けた「ゲーム」に生き残れ――。

異能の精鋭たちによる、究極の"騙し合い!結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校“D機関"。「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。この戒律を若き精鋭達に叩き込み、軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関"の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く結城は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げてゆく......。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる、究極のスパイ・ミステリー。

 

 

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?

小説というかビジネス系の本といった感じですが読んでいてとても面白かったのでご紹介。USJのハリウッドドリームザライドがどうして後ろ向きに走っているのか知りたい方は是非ご一読を。

 

ハリウッド映画のテーマパークとして2001年に大阪に誕生したユニバーサル・スタジオ・ジャパン。初年度こそ年間1100万人を集めたが、それ以降は集客が伸びず、2009年度は700万人台にまで減ってしまった。このピンチをどう乗り越えるのか?お金がないならアイデアを振り絞れ!後ろ向きコースター、ゾンビの大量放出、絶対生還できないアトラクション…斬新な企画を次々打ち出し、USJはV字回復していく。 

 

 

神去なあなあ日常

「舟を編む」で本屋大賞を受賞し脚光を浴びた三浦しをんが描く林業を舞台にした小説。普段私たちがなかなか知ることのない林業の仕事を作中の主人公を通して楽しく体験させてくれます。普段山とか木にはあまり興味がないという方でも絶対楽しめますよ。

 

美人の産地・神去村でチェーンソー片手に山仕事。先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来。しかも村には秘密があって…!?林業っておもしれ~!高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う。林業の現場に生きる人々の1年間のドラマと勇気の成長を描く。

 

 

 

一路

時代小説でおなじみ浅田次郎の長編作品。江戸時代の参勤交代を舞台にした作品で、突然参勤の責任者を任された19歳の主人公が紆余曲折ありながら大役に取り組みます。しかしその裏には様々な思惑があって...?

 

失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路。齢十九にして初めて訪れた故郷では、小野寺家代々の御役目・参勤道中御供頭を仰せつかる。失火は大罪にして、家督相続は仮の沙汰。差配に不手際があれば、ただちに家名断絶と追い詰められる一路だったが、家伝の「行軍録」を唯一の頼りに、いざ江戸見参の道中へ!

 

 

人生エロエロ

タイトルの通りです。みうらじゅんが週刊文春に連載中のエッセイをまとめた作品。作中にはそれほど直接的な表現はないので軽く楽しく読めますよ。これ以上多くは語りますまい。

 

初めてコンドームを買ってじっくり観察したあの日、大量のエロ本を抱えたまま交通事故に遭った恐怖、70万円ものラブドールを購入して居酒屋に同伴…。“人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた”でおなじみ、「週刊文春」の人気連載が遂に文庫化。「男ってバカねえ」と女性読者にも大好評、思わず吹き出すエロエロエッセイ80連発!

 

 

聖の青春

29歳の若さで亡くなった実在の将棋棋士の生涯を描いた作品。信念をもって生きること、やり遂げることの大切さが詰まった一作。一人の若者が必死に走り抜けた青春の記録。将棋ファンは特に必読。

 

純粋さの塊のような生き方と、ありあまる将棋への情熱―重い腎臓病を抱えながら将棋界に入門、名人を目指し最高峰のリーグ「A級」での奮闘のさなか、29年の生涯を終えた天才棋士村山聖。名人への夢に手をかけ、果たせず倒れた“怪童”の歩んだ道を、師匠森信雄七段との師弟愛、羽生善治名人らライバルたちとの友情、そして一番近くから彼を支えた家族を通して描く、哀哭のノンフィクション。第13回新潮学芸賞受賞。

 

 

蜩ノ記

人気の時代小説作家葉室麟のとある武士を描いた小説。著者の作風として、正義を貫くといったテーマ性が挙げられますが、本作も例に漏れず武士としての清廉な生き様を描いたとても面白く完成度の高い小説となっています。

 

豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は、城内で刃傷沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉で、家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。庄三郎には編纂補助と監視、七年前の事件の真相探求の命が課される。だが、向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉さに触れ、その無実を信じるようになり…。命を区切られた男の気高く凄絶な覚悟を穏やかな山間の風景の中に謳い上げる、感涙の時代小説。

 

 

ノルウェイの森

新作を出すたびに賛否両論を巻き起こす人気作家村上春樹の代表作。本作もかなり評価が分かれていますが、個人的には楽しめました。村上春樹の作品は読者を楽しませるということをあまりしないのでそれを念頭に置いて純文学として読むとより納得できるかも。

 

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。

 

 

星の王子さま

大人になってから本当の意味で理解できる本の代表作として挙げられるのがこちらの作品。初版から70年以上たった今でも全世界で新版が刊行され続けている驚愕の大ベストセラー。目に見えない本当に大切なものに気付かせてくれる優しくて悲しい物語。

 

ふるさとの星を出発した星の王子さまは、命令好きの王さまの星や、うぬぼれ男の星などを旅します。最後に地球にやってきて、サハラ砂漠で飛行機を修理中のパイロットに出会います。心をとらえて離さない不思議な物語。サハラ砂漠に不時着した孤独な飛行士と,「ほんとうのこと」しか知りたがらない純粋な星の王子さまとのふれあいを描いた永遠の名作。

 

 

精霊の守り人

ファンタジーSF作家上橋菜穂子の代表的長編小説。物語としての完成度も高く、作品数自体が少ない純ファンタジー小説としてはかなり貴重な作品。ファンタジー小説のランキングでは十二国記と並んで1、2を争う名作。

 

老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。

 

 

フェルマーの最終定理

聞いたことくらいはあるかもしれない数学の難問、「フェルマーの最終定理」 の証明をまでの過程を扱った小説。これだけ読むと難しそうな印象を受けるかもしれませんが、そんなことはありません。数学者たちの悪戦苦闘を一般の読者にも面白く、わかりやすく伝えてくれるノンフィクション作品。

 

17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが――。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション!

 

 

夏美のホタル

夏を舞台にした作品は多々あれど、これほどまでに情感を再現した作品が他にあるでしょうか。何度も読み返したくなるとても優しくて癒される物語。 情景描写が多彩な森沢明夫の世界を体感してみませんか?

 

写真家志望の大学生・相羽慎吾。卒業制作間近、彼女の夏美と出かけた山里で、古びたよろず屋「たけ屋」を見付ける。そこでひっそりと暮らす母子・ヤスばあちゃんと地蔵さんに、温かく迎え入れられた慎吾たちは、夏休みを「たけ屋」の離れで暮らすことに。夏空の下で過ごす毎日は、飽きることなくシャッターを切らせる。やがて、地蔵さんの哀しい過去を知った慎吾は、自らできることを探し始めるが…。心の故郷の物語。

 

 

ちょっと今から仕事やめてくる

タイムリーな話題でもあるブラック企業を扱った北川恵海の作品。タイトルを見て、少しでも惹かれた方は是非手に取ってみて下さい。働くということは自分にとって何なのか、考えるきっかけになるかも。

 

ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。なぜ赤の他人をここまで気にかけてくれるのか? 気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で鬱になり自殺した男のニュースだった――
働く人ならみんな共感! スカっとできて最後は泣ける"すべての働く人たちに贈る、人生応援ストーリー。

 

 

 

面白さA+ランク

どこを切り取っても質の高い作品ばかりのA+ランクの作品です。

 

 

 

 

 

蛇行する月

人気作家桜木紫乃の幸せを伝える物語。最後まで読んでみて、何かが残る本というのは本当の意味で名作と呼べるのでしょう。本作は、まさにその名作に当てはまるような素敵な作品です。考えさせられる、ただそれだけではなく、読者の心をほんのり温めてくれる本というのは非常に貴重な存在です。

 

東京に逃げることにしたの――。釧路の高校を卒業してまもなく、二十以上も年上の和菓子職人と駆け落ちした順子。親子三人の貧しい生活を「幸せ」と伝えてくる彼女に、それぞれ苦悩や孤独を抱えた高校時代の仲間は引き寄せられる。自分にとって、幸せって?ままならぬ人生に一筋の希望を見出した女たちへの、エールに満ちた物語。

 

 

昨夜のカレー、明日のパン

本屋大賞1位の作品はかなり脚光を浴びますが、2位の作品というのは意外と知らない人も多いのではないでしょうか。 重くなりすぎずに大切な人の死と残された人たちのその後を描いた短編集。登場人物たちの程よい距離感が読者を心地よくさせてくれる秀作。

 

7年前、25歳で死んでしまった一樹。遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、人気夫婦脚本家による初の小説。書き下ろし短編「ひっつき虫」収録!

 

 

対岸の彼女

女性たちの普遍的で複雑な人間関係を描いた角田光代の意欲作。女性に焦点を絞った友人、親友の関係の難しさ脆さをストレートに描き、問題提起を行います。「友達」という距離感の微妙さを再認識させられる一作。

 

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。

 

 

そして誰もいなくなった

世界的な人気ミステリー作家アガサ・クリスティーの代表的作品。ミステリー本来の良さが惜しみなく体現されており、ミステリーの名作を読むなら手放しでおすすめできる作品。最後の最後までわからないストーリーが全ての読者を惹きつけます。

 

その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく! 強烈なサスペンスに彩られた最高傑作! 新訳決定版!

 

 

火の粉

ドラマ版ではユースケ・サンタマリアの怪演が話題を呼んだ雫井脩介のサスペンス小説。主人公のほんの少しの心の弱さに付け込まれ、これまで必死に逃れてきた火の粉が自分に降りかかってくる様は恐怖すら覚えます。人間の脆さと恐ろしさを描く心理サスペンスの到達点。

 

元裁判官で、現在は大学教授を務める梶間勲の隣家に、かつて無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い…武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴んでいく。手に汗握る犯罪小説の最高傑作。

 

 

窓ぎわのトットちゃん

子どもと一緒に読みたい小説として真っ先に挙げられる黒柳徹子の自伝的小説。トットちゃんと先生、周りの子供たちが織り成す少し変わった日常の物語。教育とはどうあるべきかを深く考えさせられます。

 

「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」小林先生のこの言葉は、トットちゃんの心の中に、大いなる自信をあたえてくれました――。トモエ学園の、子どもたちの心をつかんだユニークな教育の実際と、そこに学ぶ子どもたちのすがたをえがいた感動の名作『窓ぎわのトットちゃん』を子どもたち自身におくります。

 

 

クライマーズ・ハイ

著者の横山秀夫が過去に在籍していた新聞社での経験をもとに、ジャーナリズムのあるべき姿を克明に描いた傑作。新聞記者の主人公を通して報道組織の問題点が次々と浮き彫りになります。表紙からもわかるように題材は日航機墜落事故を扱っています。

 

85年、御巣鷹山の日航機事故で運命を翻弄された地元新聞記者たちの悲喜こもごも。上司と部下、親子など人間関係を鋭く描く。

北関東新聞の記者・悠木は、同僚の安西と谷川岳衝立岩に登る予定だったが、御巣鷹山の日航機墜落事故発生で約束を果たせなくなる。一方、1人で山に向かったはずの安西は、なぜか歓楽街でクモ膜下出血で倒れ、病院でも意識は戻らぬままであった。地方新聞を直撃した未曾有の大事故の中、全権デスクとなった悠木は上司と後輩記者の間で翻弄されながら、安西が何をしていたのかを知る――。 実際に事故を取材した記者時代の体験を生かし、濃密な数日間を描き切った、著者の新境地とも言うべき力作。

 

 

日本で一番悪い奴ら

過去に実際に起きた北海道警察の大規模スキャンダル「稲葉事件」 を題材にしたノンフィクション作品。当時表立ってあまり報道されなかった警察組織の闇、驚くほど倫理観が欠落している内情を描いた硬派な作品。同名の映画が公開され話題にもなりました。

 

二〇〇二年七月、北海道で現職警察官が逮捕された。階級は警部、逮捕容疑は覚醒剤使用だった。その後、覚醒剤密売と拳銃不法所持まで発覚。それは北海道警察を舞台にした日本警察史上、最大の不祥事が幕を開けた瞬間だった…。「黒い警部」は、なぜ醜い欲望に溺れたのか。あまりにもスキャンダラスな事件の真相と核心、道警の闇を暴く衝撃のノンフィクション!

 

 

坂の上の雲

NHKでドラマ化もされた司馬遼太郎の大河小説。明治時代の日本を舞台に、登っていけばやがては手が届くと思い坂の上の雲を目指していく近代日本の姿が描かれます。明治維新から日露戦争までが描かれており、冊数も多く長めの作品ながら、全編を通して完成度の高い良質な歴史小説であることは疑いありません。 是非おすすめですよ。

 

同じ松山で生まれ育った正岡子規と、日露戦争で活躍した秋山兄弟。子規は病と闘いながら俳諧の革新に挑み、秋山兄弟はそれぞれ日本の騎兵、海軍の技術向上に尽力した。当時最強とうたわれたロシアのコサック騎兵を打ち破るべく、ひたすら仕事に打ち込む兄好古と、文学の世界に未練を残しながらも海軍に入隊し、海軍戦術を研究し続けた弟真之。誰もが立身出世を目指した時代に、彼らがどうやって自分の人生の意義を見出したのか。司馬遼太郎の大河小説の中でも、本書は特に評価が高く、ビジネスパーソンをはじめ、多くの人々に読まれている。改革の時代にこそひも解きたい。

 

 

ジヴェルニーの食卓

4人の画家の生活を色鮮やかに描き、絵画にまつわるエピソードをまとめた短編集。まるで有名画家のアトリエにタイムスリップしてしまったかのような空気感が味わえます。原田マハの他作品、「楽園のカンヴァス」もあわせておすすめ。

 

ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。身を持ち崩したパトロン一家を引き取り、制作を続けた彼の目には何が映っていたのか。新しい美を求め、時代を切り拓いた芸術家の人生が色鮮やかに蘇る。マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌら印象派たちの、葛藤と作品への真摯な姿を描いた四つの物語。

 

 

ツレがうつになりまして。

突然うつになった家族を支える筆者と夫の闘病生活を描いたコミックエッセイ。うつ病の人にどう接したらいいのかということが様々なエピソードを交えながら解説されます。今はそうでなくても、一つの知識として、心構えとしても是非読んでみてはいかがでしょうか。

 

スーパーサラリーマンだったツレがある日、突然「死にたい」とつぶやいた。会社の激務とストレスでうつ病になってしまったのだ。明るくがんばりやだったツレが、後ろ向きのがんばれない人間になった。もう元気だったツレは戻ってこないの?病気と闘う夫を愛とユーモアで支える日々を描き、大ベストセラーとなった感動の純愛コミックエッセイ。

 

 

三日間の幸福

新進気鋭の人気作家、三秋縋の出世作。もし自分の寿命が見えていたら?そしてその寿命をお金に換えることができたら?あなたは残りの時間をどう過ごすでしょうか。寿命が長いから幸福なんて誰が決めたのか、そんな疑問を投げかける切なくて綺麗な物語。

 

どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。ウェブで大人気のエピソードがついに文庫化。

 

 

村上海賊の娘

外国の海賊を描いた作品は多々あれど、日本の海賊を描いた作品はなかなか見当たりません、ましてや長編ともなればなおさら。 本書は、そんな隠れた需要に真っ向から答えた和田竜の歴史小説。本屋大賞も受賞した歴史戦国絵巻。

 

時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。村上海賊――。瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景だった。海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女。この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く――。本屋大賞、吉川英治文学新人賞ダブル受賞! 木津川合戦の史実に基づく壮大な歴史巨編。

 

 

アミ 小さな宇宙人

「生きている意味」を知りたいとは思いませんか? 「愛」を知りたいとは思いませんか?そんなこと簡単にわかるわけがない。そうでしょうか。読むだけで愛に包まれるような素敵な本がもしあったとしたら...?さて、どうでしょう。

 

少年ペドゥリートとアミと名乗る宇宙人との感動のコンタクト体験。宇宙をめぐる旅の中でペドゥリートは、地球がいまだ野蛮な、愛の度数の低い未開の惑星であることを教わる。世界11カ国語に訳された不朽のロング&ベストセラー待望の文庫化。

 

 

増山超能力師事務所

個性豊かな超能力者たちが遭遇する様々な出来事を描いた誉田哲也の連作集。ここのキャラクターがしっかり引き立っており、後味の良い爽やかな読後感が特徴でとても読みやすい作品。超能力という題材ながら話が飛躍しすぎることなくまとまっている点も◎。

 

日暮里駅から徒歩10分。ちょっとレトロな雑居ビルの2階にある増山超能力師事務所―。所長の増山率いる、見た目も能力も凸凹な所員たちは、浮気調査や人探しなど、依頼人の悩み解決に今日も奔走。超能力が使えても、そこは人の子。異端の苦悩や葛藤を時にユーモラスに時にビターに描く人気シリーズ第1弾。

 

 

一九八四年

SFチックな退廃的な世界観で人間の言語と思想を描いたジョージ・オーウェルの名作。SFの知識がない方にも是非おすすめしたい古典的作品でもあります。近未来に実際に起きてもおかしくないようなリアリティのあるディストピア小説。

 

“ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。

 

 

社会人大学人見知り学部 卒業見込

今まで読んだ芸人さんの本の中でも飛びぬけて良かったオードリー若林の人見知りエッセイ。よくありがちなただの自分語りにとどまらず、様々な観点から自分がどうするべきかを一生懸命考えて成長していく青年の姿が描かれます。これから生きていくための力がもらえる、そんな本です。

 

若手芸人の下積み期間と呼ばれる長い長いモラトリアムを過ごしたぼくは、随分世間離れした人間になっていた―。スタバで「グランデ」と頼めない自意識、飲み屋で先輩に「さっきから手酌なんだけど!!」と怒られても納得できない社会との違和。遠回りをしながらも内面を見つめ変化に向き合い自分らしい道を模索する。芸人・オードリー若林の大人気エッセイ、単行本未収録100ページ以上を追加した完全版、ついに刊行!

 

 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

恋愛小説の中でも特に人気の高い七月隆文の代表作。時間と人間模様が交差する少し変わったジュブナイル小説。運命があるとしたら、それはきっと美しくて切ない出会いになるでしょう。プロットの秀逸さが特に光る一作。

 

京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていて―。「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」奇跡の運命で結ばれた二人を描く、甘くせつない恋愛小説。彼女の秘密を知ったとき、きっと最初から読み返したくなる。

 

 

ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領

持続可能な開発について問題提起を行った国連のスピーチでノーベル賞の候補にもなり、自分の給料のほとんどを寄付して貧しい生活を送るウルグアイの大統領ホセ・ムヒカ氏の生涯を描いた作品。現実的な課題はともかく、この人の考え方は現代に生きる私たちに本当に大切なものとは何かを考えさせてくれます。

 

世界が抱える諸問題の根源は、我々の生き方そのものにあると説いた伝説的スピーチで、一躍時の人となった南米ウルグアイ前大統領ホセ・ムヒカ。一国の長でありながら庶民的生活を貫き、国民の目線に立ち続ける柔和で読書好きな老人の生涯は、貧困、ゲリラ活動、投獄など衝撃の過去に満ちていた―。「私が大統領を辞めたら本にしてもいいよ」―19年にわたる現地取材を基に著した歴史的ルポが満を持して遂に文庫化!

 

 

にぎやかな未来

 言わずと知れた日本SF界の重鎮筒井康隆の名作短編集。 気軽に読んで、気軽に笑える不条理で滑稽、それでいて良質なショートショートが楽しめます。筒井ワールドの入門作品としても一押し。

 

生活の全てがコマーシャルに利用され、退屈しのぎに聴くFM放送にも執拗にCMが入る。しかも、ラジオの電源を切る者を罰する法律が制定された!(「にぎやかな未来」)人間の平均寿命はとうとう120歳に。遺伝子の選別と催眠教育により生み出された10歳の天才に、仕事を奪われた43歳の男は、詩人として身を立てようとするが。(「遊民の街」)未来への警告を、著者ならではの軽妙な笑いの中に描く、傑作掌篇集。

 

 

時砂の王

タイムパラドックスを扱った小川一水のSF小説。 硬派な作品ながら、タイムトラベルという物語としては一般的な題材を扱っているため、非常に読みやすい本格SFとなっています。近未来の生命体と卑弥呼が戦うお話。なんだか読んでみたくなりませんか?

 

〈時をめぐる大いなる戦いの果てに――著者が満を持して挑む、初の時間SF〉時間線を遡行して人類の完全なる殲滅を狙う謎の存在。絶望的な撤退戦の末、男は最終防衛ラインたる3世紀の倭国に辿りつくが……

 

 

百瀬、こっちを向いて。

学生時代に読みたかった小説NO1。 少年少女の様々な恋愛模様を描いた中田永一の短編集で、甘酸っぱくてほろ苦い青春を優しく描いた作品。おそらくこんな青春が送りたかったなーと思わされてしまいますが...意外と読後感は爽やか。

 

「人間レベル2」の僕は、教室の中でまるで薄暗い電球のような存在だった。野良猫のような目つきの美少女・百瀬陽が、僕の彼女になるまでは―。しかしその裏には、僕にとって残酷すぎる仕掛けがあった。
「こんなに苦しい気持ちは、最初から知らなければよかった……!」 
恋愛の持つ切なさすべてが込められた、みずみずしい恋愛小説集。

 

 

空中ブランコ

人が死なない笑える小説。気楽に読んで気分転換できる、たまにはそんな作品があってもいいと思います。 扱っている題材はなかなか深刻なものもありますが、悲壮感を感じさせず面白さに昇華している点が直木賞受賞の所以でしょうか。

 

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。

 

 

国境

経営コンサルとヤクザのコンビが北朝鮮に乗り込んで裏社会を渡り歩く黒川博行の小説。非常にテンポが良く、様々な手法で次から次へと問題を解決していくハードボイルドさが魅力の作品。エンターテイメントとしても質の高い傑作。

 

「疫病神」コンビこと、建設コンサルタントの二宮と二蝶会幹部の桑原は北朝鮮に飛んだ。二宮は重機の輸出で、桑原は組の若頭がカジノ建設の投資話でそれぞれ詐欺に遭い、企んだ男を追ってのことだった。平壌に降り立ったふたりだが、そこには想像以上に厳しい現実と監視が待っていた。シリーズ最高傑作の呼び声高い超大作!

 

 

江戸の備忘録

戦国から江戸時代の印象的なエピソードや人物をまとめた磯田道史の随筆集。当時の時代背景を理解するのにも役立つトピックばかりですし、時代小説を読む際の予備知識として読んでおいても損はない作品。

 

信長、秀吉、家康はいかにして乱世を終わらせ、江戸の泰平を築いたのか?江戸時代の「役人の数」「政府の規模」「教育水準」はいかほどだったのか?気鋭の歴史家が民の上に立つ為政者=武士の内実に分け入り、今の日本の土台となった江戸時代の成り立ちを平易な語り口で解き明かす。日本史の勘どころがわかる歴史随筆集。

 

 

キアズマ

ロードレースの世界を舞台にした近藤史恵の青春小説。大学の自転車部という一風変わった題材ですが自転車競技の魅力が王道の青春ストーリーを通して伝わってきます。ロードレースファンの方には特におすすめ。

 

ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのに―走る喜びに突き動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春長編。

 

 

沈まぬ太陽

巨大企業日本航空の暗部を描いた人気作家山崎豊子の長編小説。事実をもとにフィクションとノンフィクションを織り交ぜる著者の手法が特に成功を収めている一作ではないかなと思います。日航のエリートコースからアフリカに飛ばされた主人公の命運やいかに。

 

広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命――。人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける!

 

 

カラフル

内気な少年の内面をポップでファンタジックに描いた森絵都の代表作。独特でどこかフワフワした雰囲気の中で、重いテーマを軽やかに描く著者の筆致は刊行当初から非常に高い評価を受けてベストセラーとなりました。

 

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。

 

 

ソロモンの偽証

生徒たちが行う学校内での犯人探しやそれに伴う学級内裁判の模様を描いた宮部みゆきのミステリー小説。登場人物たちの群像劇の中から、親子のかかわりや犯人探しへの葛藤など、圧倒的な表現力で描かれる長編作品。中でも心理描写、情景描写は非常に秀逸。

 

クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か。自殺か。謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった―。一つの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、死の真相を求める生徒達を描く、現代ミステリーの最高峰。

 

 

花まんま

主人公の少年少女が、体験する不思議な出来事を哀愁と共に描いた朱川湊人の直木賞受賞作品。子ども時代の色や匂いが鮮やかに描かれ、いつか忘れてしまった昔の感覚を思い出させてくれるどこか懐かしい連作短編集。

 

母と二人で大切にしてきた幼い妹が、ある日突然、大人びた言動を取り始める。それには、信じられないような理由があった…(表題作)。昭和30~40年代の大阪の下町を舞台に、当時子どもだった主人公が体験した不思議な出来事を、ノスタルジックな空気感で情感豊かに描いた全6篇。

 

 

 

面白さSランク

小説の面白さとしてはトップクラス!誰に対しても自信をもっておすすめできる名作傑作ばかりです。

 

 

 

下町ロケット

第145回直木賞受賞作品にして稀代のヒットメーカー池井戸潤の代表作。勧善懲悪のシンプルなプロットながら著者の卓越した筆致によってとある町工場を舞台に手に汗握るストーリーが展開されます。山あり谷ありでエンターテイメント性も抜群、読後感も爽やかな大衆小説のお手本とも呼ぶべき作品。

 

研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた――。男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編!

 

 

カエルの楽園

現代の日本社会の問題点を痛烈に指摘した風刺的寓話が一躍話題を呼んだ百田尚樹氏の人気作。現代社会をカエルの世界になぞらえ、筆者の得意分野でもあるマスコミや教育についての問題提起を行った意欲作でもあります。直接的な描写は避け、登場人物をカエルに置き換えることによって賛否のある題材ながら万人向けの作品へと昇華されています。

 

最大の悲劇は、良心的な愚かさによってもたらされる。
ベストセラー作家が全力で挑んだ、衝撃の問題作。

安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、豊かで平和な国「ナパージュ」に辿り着く。そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守って暮らしていた。だがある日、平穏な国を揺るがす大事件が起こる――。著者自らが「私の最高傑作」と断言。大衆社会の本質を衝いた、G・オーウェル以来の寓話的「警世の書」。

 

 

 

 

青の炎

長い人生思い通りにならないことはたくさんあります。そんな時あなたはどう行動するでしょうか。家族の幸せを取り戻すため17歳の主人公の苦悩を通して、普通の幸せを得ることの難しさ、儚さが描かれます。困難な題材ながら重たくなり過ぎず、クセのない読み味で読者の心を揺さぶる傑作ミステリー。

 

櫛森秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との3人暮らし。その平和な家庭に、母が10年前に別れた男、曾根が現れた。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとする。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意した。自らの手で曾根を葬り去ることを……。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。 

 

 

家族八景

他人の家庭を覗いてみたくはないですか?家政婦として様々な家庭で働く七瀬を通して、人間が本質的に抱えている闇を浮き彫りにした巨匠筒井康隆の短編集。著者の作品すべてに共通して言えることですが、非常に読みやすくしっかりまとまっているので軽く読みたい人にもおすすめ。

 

幸か不幸か生まれながらのテレパシーをもって、目の前の人の心をすべて読みとってしまう可愛いお手伝いさんの七瀬――彼女は転々として移り住む八軒の住人の心にふと忍び寄ってマイホームの虚偽を抉り出す。人間心理の深層に容赦なく光を当て、平凡な日常生活を営む小市民の猥雑な心の裏面を、コミカルな筆致で、ペーソスにまで昇華させた、恐ろしくも哀しい短編集。

 

 

博士の愛した数式

記憶障害を持つ64歳の「博士」と主人公の「私」を通して、他社への思いやりの大切さ、愛情の尊さ、人生の素晴らしさをストレートに投げかける静かで温かい物語。読み終わった後読者を少し前向きな気持ちにさせてくれる、そんな作品です。第1回の本屋大賞受賞作品でもあります。

 

家政婦として働く「私」は、ある春の日、年老いた元大学教師の家に派遣される。彼は優秀な数学者であったが、17年前に交通事故に遭い、それ以来、80分しか記憶を維持することができなくなったという。数字にしか興味を示さない彼とのコミュニケーションは、困難をきわめるものだった。しかし「私」の10歳になる息子との出会いをきっかけに、そのぎこちない関係に変化が訪れる。彼は、息子を笑顔で抱きしめると「ルート」と名づけ、「私」たちもいつしか彼を「博士」と呼ぶようになる。

 

 

十角館の殺人

新本格ミステリー小説の潮流を生み出した推理小説作家綾辻行人のデビュー作。トリックの見せ方が非常に上手く、丁寧な構成でミステリー小説の代表作とも言える作品。小説という媒体だからこそ体験できる楽しさが詰まったライトな読者にもおすすめの一作。

 

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。

 

 

殺戮にいたる病

前述の新本格の流れを汲んだ一風変わったホラーミステリー。もしあなたがこの作品を全く知らないというのであれば、それは非常に幸運です。すべての前情報をシャットアウトして、今すぐ買って読みましょう。 ところどころに猟奇的な描写は出てきますが、それを差し引いてもラストの衝撃は必見。著者は「かまいたちの夜」でおなじみの我孫子武丸。

 

永遠の愛をつかみたいと男は願った――東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔! くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る異色のサイコホラー。衝撃の冒頭、ラストの大破局。

 

 

夜市

本作で第12回ホラー小説大賞を受賞し鮮烈なデビューを飾った恒川光太郎の和風ファンタジーホラー。シンプルな文章から独特の世界観が描かれ、「夜市」という異世界の空気感がファンタジックに表現されている。ホラーレーベルでの刊行でありながら、直接的な恐怖や心理的な不安感をあおる描写は一切なく、文学作品としても非常に完成度の高い作品。

 

妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた――。奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング!

 

64(ロクヨン)

未解決の幼女誘拐事件を題材に警察組織の闇、警察庁と県警の対立など錯綜する様々なストーリーが大規模に展開する横山秀夫のハードボイルドサスペンス小説。長編ではありますが全編を通して切れ味が鋭く、中だるみが全くありません。クライマックスまでノンストップで駆け抜ける著者の卓越した筆致が圧巻の一作。

 

元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。

 

 

死神の精度

良質な作品を次々と世に送り出し、 今や映画化ドラマ化の常連ともなっている伊坂幸太郎の連続短編集。重いテーマでありながらコミカルなタッチで軽やかに読み進められるお話。読後感も良く、普段あまり読書をしないという方に特におすすめできる作品です。続編「死神の浮力」もあわせて是非どうぞ。

 

おまえはまだ死なない。俺がついているから――。映画化(金城武主演)もされたベストセラー『死神の精度』の「千葉」が8年ぶりに帰ってきました! しかも今回は長篇、冒頭の一部を除いてすべて書き下ろしです。7日のあいだ対象の人間を観察し、「可」か「見送り」を判定。「可」の場合8日目にその人間の最期を見届ける……。人間界でひっそりとこんな仕事をしている死神の千葉。クールでとぼけた彼のちょっとテンポのずれた会話と、誠実な仕事ぶりをたっぷりお楽しみください。

 

 

南極点のピアピア動画

ボーカロイドや動画投稿サイトの近未来を宇宙開発を絡めて描いた異色のSF小説。初音ミクやニコニコ動画が好きな人には手放しでおすすめできます。表紙やタイトルに騙されて買いましょう。 ハードSFの読者諸兄は表紙やタイトルで判断することなかれ、この作品は紛れもなく最先端のSF小説を名乗れる傑作です。短めの文量ながら読み応え抜群の連作集。

 

日本の次期月探査計画に関わっていた大学院生・蓮見省一の夢は、彗星が月面に衝突した瞬間に潰え恋人の奈美までが彼のもとを去った。省一はただ、奈美への愛をボーカロイドの小隅レイに歌わせ、ピアピア動画にアップロードするしかなかった。しかし、月からの放出物が地球に双極ジェットを形成することが判明、ピアピア技術部による“宇宙男プロジェクト”が開始される―

 

 

マルドゥック・スクランブル

近年ではドラマやアニメの原作を数多く手がけ、一躍有名作家の仲間入りを果たした冲方丁のサイバーパンクSF小説。「天地明察」や「光圀伝」以降、歴史小説作家として脚光を浴びる同氏ですが、個人的には初期から執筆を続けているSF小説を特に推したいところです。著者がなぜ各方面で高い評価を受けているのか、その一端を垣間見ることができる第24回日本SF大賞受賞作。

 

賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットは爆炎にのまれた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にして万能兵器のネズミ、ウフコックだった。法的に禁止された科学技術の使用が許可されるスクランブル−09。この緊急法令で蘇ったバロットはシェルの犯罪を追うが、そこに敵の担当官ボイルドが立ち塞がる。それはかつてウフコックを濫用し、殺戮の限りを尽くした男だった。代表作の完全改稿版、始動!

 

 

虐殺器官

新人SF作家としては桁外れの文章力・構成力で各方面から激賞を浴び、ゼロ年代SFの最高峰との呼び声高い伊藤計劃のデビュー作。日本人の作家でここまで書けるのかという衝撃とともに純粋なエンターテイメントとしての質の高さに感心した作品です。作者の早逝が本当に惜しまれます。

 

9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう…彼の目的とはいったいなにか?大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?現代の罪と罰を描破する、ゼロ年代最高のフィクション。

 

 

海賊とよばれた男

戦後の激動期を駆け抜けた出光興産の創業者の生き様を描いた近代歴史小説。日本という国を、一国産企業の視点から見つめ直し、日本人としてのプライド、誇りを掘り起こしてくれる作品。体一つで家族のため、社員のために命を懸けて世界と戦う姿が多くの人の心を動かした第10回本屋大賞受賞作。

 

一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かす。「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した男の生涯。

 

 

ブレイブ・ストーリー

言わずと知れた人気作家宮部みゆきの王道ファンタジー小説。子供向けの冒険ファンタジーと思われがちですが、著者の実力が十二分に発揮された本格小説となっています。異世界を舞台にしながら、地に足の着いたストーリー構成とテンポの良い流れるような展開が読者を引き込みながら一人の子どもが繰り広げる勇気の物語。

 

おだやかな生活を送っていた男の子に、突然、両親の離婚話がふりかかる。家を出た父を連れ戻し、再び平和な家族に戻りたいと強く願う少年が向かった先は、運命を変えることのできる女神の住む世界「幻界(ヴィジョン)」だった。5つの「宝玉」を手に入れ、女神のいる「運命の塔」を目指す彼を待ち受けるものとは!? トカゲ男にネコ娘、火を噴くドラゴン。コミカルなキャラクター勢とともに、次々と沸き起こるトラブルを乗り越え、少年は強くたくましくなってゆく。

 

 

天空の蜂

デビュー直後から非常に速いスピードで作品を発表し、1998年の「秘密」 で一気にブレイクするとその後も次々とヒット作を連発している人気ミステリー作家東野圭吾。この作品は、そんな同氏のブレイク前に刊行された小説です。20年前に描かれたとは思えない先見性から描かれる現実味あふれるストーリーと東野作品の中でも珍しいスケールの大きさが魅力。

 

奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、稼働中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。そしてヘリの燃料が尽きるとき……。驚愕のクライシス、圧倒的な緊追感で魅了する傑作サスペンス。

 

 

阪急電車

阪急電車の支線という非常に身近な舞台設定で、 様々な登場人物が絡み合いいろいろな出来事を巻き起こすオムニバス形式の小説。心温まるエピソードが満載で、読後感はとても爽やか。通勤通学の電車の中でも気軽に読みやすい一作。

 

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。

 

 

ツナグ

この世から消えてしまった人間に、たった一人会うことができるとしたら、あなたは誰に会いたいですか...? 死者との再会、別れを題材にした辻村深月の連作短編集。作中には明るいエピソードも暗いエピソードもありますが、透き通った雰囲気は一貫しており文章も平易でとても読みやすい。死者に会うことによって人は何を思い、どう変わるのかを読者に投げかける深いテーマ性を持った良作。

 

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。

 

 

西の魔女が死んだ

中学生の少女「まい」とそのおばあちゃんを通して、様々な愛情の形と心の豊かさを描いた児童文学作家梨木香歩の小説。「美しい」という言葉が一番しっくりくるような真っ直ぐで素敵な物語です。生きる上で、子供を育てる上で、幸せになる上で何が大切なことなのかを問いかける優しいお話。

 

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。

 

 

十二国記

NHKでアニメ化もされた小野不由美の冒険ファンタジー小説の第1作目。 不自由なく普通の日常を送っていた女子高生の主人公が、突然文化も価値観も違う異世界に迷い込むことになり、その後の困難に立ち向かう姿を描いた長編。秀逸な心理描写で読者を引き込むヒロイック・ファンタジー。

 

「お捜し申し上げました」―女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨う陽子は、出会う者に裏切られ、異形の獣には襲われる。なぜ異邦へ来たのか、戦わねばならないのか。怒濤のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸る。シリーズ本編となる衝撃の第一作。

 

 

13階段

死刑制度とそれを取り巻く人間たちを主題に、人が人を裁くことの矛盾を鋭く抉った高野和明の第47回江戸川乱歩賞受賞作。死刑制度の是非を描いた作品ではありますが、どちらの立場にも傾くことなく、あくまで読者一人一人にこのことをしっかり考えてほしいという著者のスタンスは非常に好感が持てます。エンターテイメント性にも優れており、ひとたび読み始めればページをめくる手が止まらなくなる、そんな一作。

 

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。

 

 

ハサミ男

大胆なトリックと非常によく練られたプロットが光る殊能将之のミステリー小説。シリアル・キラーの主人公ハサミ男の視点が真犯人を探す推理劇が描かれます。ストーリーが進めば進むほど物語の展開は混迷を極め、「なんじゃこりゃ」となったところで怒涛の急展開を迎えます。ぜひあなたのその目で確かめてみてください。

 

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

 

 

夜のピクニック

どこか気恥ずかしさを感じる青春時代のかけがえのない一瞬を真っ直ぐに、素直に書き綴った青春小説。あの時、エネルギーにあふれ様々な葛藤を抱えながらもはっきりと輝いて見えた学生時代に戻りたくなるようなノスタルジーを感じる作品。

 

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

 

 

夜は短し歩けよ乙女

幻想的な世界観とユーモアあふれる文体で登場人物たちが様々な事件を巻き起こす恋愛ファンタジーという珍しいジャンルの小説。第20回山本周五郎受賞、2007年本屋大賞第2位も獲得している。少し現実離れというか浮世離れ?したようなふわふわとした雰囲気が癖になること間違いなし。

 

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作!

 

 

きまぐれロボット

短編SFの名作を数多く生み出し、小松左京、筒井康隆と並んでSF御三家とも呼ばれた有名作家星新一のショートショート。子どもでも読みやすい平易な文体とシンプルなストーリーから繰り出される切れ味抜群のブラックユーモアを是非ご堪能あれ。

 

お金持ちのエヌ氏は、博士が最も優秀と自慢するロボットを買入れた。オールマイティのロボットだが、時々あばれたり逃げたりする。ひどいロボットを買わされたと怒ったエヌ氏は博士に文句を言ったが……。ショート・ショートでは第一級の作者が綴る、大人と子供のための童話。表題作他35編を収録。

 

 

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

小学生のかのこちゃんと猫のマドレーヌ夫人が繰り広げるほのぼのファンタジー。小さな子どもだからこそ様々なことを素直に感じることができ、素直に伝えることができる。あたたかい人たちのあたたかいものがたり。著者は「鴨川ホルモー」「プリンセス・トヨトミ」で知られる万城目学。

 

かのこちゃんは小学1年生の女の子。玄三郎はかのこちゃんの家の年老いた柴犬。マドレーヌ夫人は外国語を話せるアカトラの猫。ゲリラ豪雨が襲ったある日、玄三郎の犬小屋にマドレーヌ夫人が逃げこんできて……。元気なかのこちゃんの活躍、気高いマドレーヌ夫人の冒険、この世の不思議、うれしい出会い、いつか訪れる別れ。誰もが通り過ぎた日々が、キラキラした輝きとともに蘇り、やがて静かな余韻が心の奥底に染みわたる。

 

 

銀河英雄伝説

シリーズ累計1500万部を突破した田中芳樹のスペースオペラ小説。超スケールで展開される銀河をまたにかけた群像劇ですが、物語のテンポも良く、長編にありがちな中だるみもなく非常に読みやすい。政治闘争や宗教、国家戦略など魅力あふれる要素が満載で娯楽小説として自信をもっておすすめできる作品。

 

銀河系に一大王朝を築きあげた帝国と、民主主義を掲げる自由惑星同盟が繰り広げる飽くなき闘争のなか、若き帝国の将“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラムと、同盟が誇る不世出の軍略家“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリーは相まみえた。この二人の智将の邂逅が、のちに銀河系の命運を大きく揺るがすことになる。日本SF史に名を刻む壮大な宇宙叙事詩、星雲賞受賞作。

 

 

青い鳥

「ビタミンF」「流星ワゴン」などでおなじみの直木賞作家重松清の話題作。本当に大切なことしか言わない吃音の国語教師とその生徒たちのやり取りを通して大切なこととは何か、それを人に伝えるためにどうすべきかを考えさせられる一作。あなたもこの物語を読んで、何かを感じてみませんか。

 

村内先生は、中学の非常勤講師。国語の先生なのに、言葉がつっかえてうまく話せない。でも先生には、授業よりももっと、大事な仕事があるんだ。いじめの加害者になってしまった生徒、父親の自殺に苦しむ生徒、気持ちを伝えられずに抱え込む生徒、家庭を知らずに育った生徒―後悔、責任、そして希望。ひとりぼっちの心にそっと寄り添い、本当にたいせつなことは何かを教えてくれる物語。

 

 

深夜特急

会社を辞め海外へ放浪に出かけた主人公の旅の記録を描いた旅行小説。この本の最大の特徴は、読んだ者を例外なく旅への衝動に駆り立てること。その効果は絶大で、「麻薬」とまで呼ぶ人もいる。それほどまでに人の心を動かす小説、あなたも読んでみたくありませんか?

 

インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く―。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは、「大小」というサイコロ博奕に魅せられ、あわや…。1年以上にわたるユーラシア放浪が、今始まった。いざ、遠路2万キロ彼方のロンドンへ。

 

苦役列車

人生のどん底、社会の底辺でもがき、肉体労働の傍ら当てもなく作家を目指すという著者の実体験をもとにした私小説。社会的弱者のひねくれた生き様を描いた異色の内容が読者を惹きつける。中卒芥川賞作家の著者西村賢太の切れ味が存分に発揮された代表的作品。

 

劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。

 

 

砂の女

数々の名作を世に送り出し、晩年はノーベル文学賞の候補とも目された阿部公房の代表作。砂に沈みつつある家から必死に脱出を試みる男と不条理を受け入れ男を引き留める女の対比が鮮やかで面白いです。中盤以降登場人物の価値観が変容していく様が痛快。本作は第14回読売文学賞を受賞し、海外でも非常に高い評価を受けました。 

 

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める部落の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに、人間存在の象徴的な姿を追求した書き下ろし長編。20数ヶ国語に翻訳された名作。

 

 

オリエント急行の殺人

近世の名作家アガサ・クリスティの古典的名作で推理小説の代名詞とも言われる作品。海外の小説ながら現在のミステリ小説を形作ったと言える傑作なので、興味のある方にはぜひおすすめです。読み応えも抜群で、推理をする楽しさを教えてくれる作品。

 

数日がかりでヨーロッパを走り抜ける豪華寝台列車、オリエント急行。さまざまな国の客が乗り合わせたその日の列車は、雪の中で立ち往生してしまう。しかも車内で殺人事件まで起こった。殺されたのは、金持ちのアメリカ人男性。たまたまこの列車に乗っていた名探偵エルキュール・ポアロは、事件を調査することになる。犯人は乗客の誰かにまちがいない。ところが全員にアリバイがあるのだ。はたして、ポアロの推理は…。

 

 

時計じかけのオレンジ

少年が選ぶ「悪」と、刑務所に入りそれを強制的に治療する過程を通して、人間の考える意味や善と悪の本質を投げかけた問題作。映画版が非常に有名な作品ですが、ラストの展開がやや異なっているので一度見たことがあるという方にもおすすめできますよ。

 

近未来の高度管理社会。15歳の少年アレックスは、平凡で機械的な毎日にうんざりしていた。そこで彼が見つけた唯一の気晴らしは超暴力。仲間とともに夜の街をさまよい、盗み、破壊、暴行、殺人をけたたましく笑いながら繰りかえす。だがやがて、国家の手が少年に迫る―スタンリー・キューブリック監督映画原作にして、英国の二十世紀文学を代表するベスト・クラシック。幻の最終章を付加した完全版。

 

旅のラゴス

数ある筒井康隆の作品の中でも個人的に一番おすすめしたいのがこの作品。 常に旅とともにある主人公の生涯が短いページ数の中でこれでもかと描かれます。読者を別世界へと誘うラゴスと不思議な旅の物語。ひたすら手放しに面白いと称賛できる作品はなかなかありませんが、そんな作品に出合えた幸せに感謝したくなるようなお話。

 

北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

 

 

55歳からのハローライフ

多作で知られる芥川賞作家村上龍の連作中編集。 静かに老いてゆく不安と、確実に消耗していく恐怖に苛まれつつも、定年間近の主人公たちに何かかけがえのないものを取り戻していく。著者の静かな怒りと柔らかな優しさにあてられ、読了後すぐに人生を変えたくなってしまうような不思議な衝動に駆られる作品です。

 

晴れて夫と離婚したものの、経済的困難から結婚相談所で男たちに出会う中米志津子。早期退職に応じてキャンピングカーで妻と旅する計画を拒絶される富裕太郎…。みんな溜め息をつきながら生きている。ささやかだけれども、もう一度人生をやり直したい人々の背中に寄り添う「再出発」の物語。感動を巻き起こしたベストセラー待望の文庫化。

 

ブギーポップは笑わない

本作が第4回電撃小説大賞を受賞し、その後の作家たちに絶大な影響を与えた上遠野浩平のデビュー作。ライトノベルでありながら、斬新なストーリー構成とザッピングシステムという卓越した表現技法は各方面から高い評価を受けました。一般文芸と見比べても全く遜色のない傑作です。

 

君には夢があるかい?残念ながら、ぼくにはそんなものはない。でもこの物語に出てくる少年少女達は、みんなそれなりに願いを持って、それが叶えられずウジウジしたり、あるいは完全に開き直って目標に突き進んだり、また自分の望みというのがなんなのかわからなかったり、叶うはずのない願いと知っていたり、その姿勢の無意識の前向きさで知らずに他人に勇気を与えたりしている。これはバラバラな話だ。かなり不気味で、少し悲しい話だ。――え? ぼくかい? ぼくの名は"ブギーポップ"――。

 

 

もらい泣き

冲方丁が実話をもとに執筆した33篇のショートストーリー集。人間の尊さ、温かさを描く内容で、タイトルからわかる通り「泣き」を題材にして書かれています。普段の生活にちょっと疲れたときこの本を読んでみれば、ほんわかと優しく包み込まれるような気持ちにさせてくれるお話が揃っています。

 

一族みんなに恐れられていた厳格な祖母が亡くなった。遺品の金庫の中に入っていた意外な中身は?「金庫と花丸」。東日本大震災の後、福島空港で車がなく途方にくれる著者に「乗りますか」と声をかけてくれた人の思い出。「インドと豆腐」。視力薄弱の子供を抱えた父親。奮闘する彼を救った感動のプレゼントとは。「ぬいぐるみ」。思わず、ホロリ。

 

 

嘘つきアーニャの真っ赤な真実

著者が9歳から14歳の時まで通ったプラハのソビエト学校での日常を描いた作品。境遇の異なる様々な子供たちが集まり、共産圏の学校ということもあって普通の日本人ではまず経験することのない貴重な彼女たちの思い出が綴られます。ノンフィクション作品であるということが信じられないほどドラマチックな展開も必見の一作。

 

1960年プラハ。マリ(著者)はソビエト学校で個性的な友達と先生に囲まれ刺激的な毎日を過ごしていた。30年後、東欧の激動で音信の途絶えた3人の親友を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!第33回(2002年)大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。

 

 

火車

緻密なプロットからわかりやすいストーリー展開で 多重債務問題の闇を痛烈に指摘した宮部みゆきのミステリー小説。現代の身近な題材を取り上げながら、文学作品としての質も両立したミステリー史に残る名作。読者の想像を掻き立てる描写が隅々に散りばめられており、何度も読み返したくなること請け合いです。

 

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた...。第6回山本周五郎賞受賞作品。

 

天使の囀り

天使の囀りが聞こえてくる謎の感染症の拡大という未知の恐怖を描いた貴志祐介のホラー小説。ホラー小説ながら単なる恐怖だけではなく物語の面白さがはっきりと際立っている名作。とはいえもちろんかなり怖いので、怖い話で俺をビビらせてくれ!という方にはぴったりの作品。

 

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

 

 

バトル・ロワイアル

中学生42人が無人島で殺し合いを強いられるという衝撃的な内容が話題を呼んだ高見広春のホラー小説。なかなか悪趣味な題材ではありますが、ただの暴力描写にとどまることなくうまくエンターテイメントに昇華させており、読みやすい。大声で面白いと喧伝することは憚られる作品ではあるものの読んでおいて損はない一作。

 

西暦一九九七年、東洋の全体主義国家、大東亜共和国。城岩中学三年B組の七原秋也ら四十二人は、修学旅行バスごと無人の島へと拉致され、政府主催の殺人実験を強制される。生還できるのはたった一人。そのためにはただクラスメイト全員を殺害するのみ―。現代日本を震撼させたジェットコースターデスゲーム・ノヴェル、ついに文庫化。

 

 

刑事のまなざし

10年前に娘が襲われるという事件を経験した刑事が独自の視点で様々な事件を解決していく薬丸岳の連作ミステリー小説。底知れぬ理不尽とやり場のない辛さに苦労しつつも、真っ直ぐ犯人に向き合おうとする主人公の姿が印象的な作品。

 

ぼくにとっては捜査はいつも苦しいものです――通り魔によって幼い娘を植物状態にされた夏目が選んだのは刑事の道だった。虐待された子、ホームレス殺人、非行犯罪。社会の歪みで苦しむ人間たちを温かく、時に厳しく見つめながら真実を探り出す夏目。何度読んでも涙がこぼれる著者真骨頂の連作ミステリ。

 

 

死都日本

火山の噴火によって危機的な状況に陥る日本列島と、被害を食い止めるべく奔走する火山オタクの主人公を描いた石黒耀の災害小説。この小説の発表以後、多くの火山学者からも高い評価を受けていることからわかるように、著者の豊富な知識と調査に基づいた正確な内容は災害対策のバイブルにもなりうる名作です。もちろん娯楽小説としての価値も非常に高い。

 

西暦20XX年、有史以来初めての、しかし地球誕生以降、幾たびも繰り返されてきた“破局噴火”が日本に襲いかかる。噴火は霧島火山帯で始まり、南九州は壊滅、さらに噴煙は国境を越え北半球を覆う。日本は死の都となってしまうのか? 火山学者をも震撼、熱狂させたメフィスト賞、宮沢賢治賞奨励賞受賞作。

 

 

ハゲタカ

ハゲタカと呼ばれる強引な手法で次々と企業を買収し、再生する主人公率いる投資ファンドの隆盛を描いた真山仁の人気シリーズの第1作目。NHKでドラマ化されて一躍有名となったこの作品。経済小説のお手本のような丁寧な描写と構成力で一気に読ませる名作。ついでに経済・金融の知識も身について一石二鳥ですね。

 

不良債権を抱え瀕死状態にある企業の株や債券を買い叩き、手中に収めた企業を再生し莫大な利益をあげる、それがバルチャー(ハゲタカ)・ビジネスだ。ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、不景気に苦しむ日本に舞い戻り、強烈な妨害や反発を受けながらも、次々と企業買収の成果を上げていった。

 

 

チーム・バチスタの栄光

刊行直後から映画化、ドラマ化が決まり、本作で華々しいデビューを飾った海堂尊の医療小説。高度な医療事件を題材として扱いながら非常に高いストーリー性で読者を引き込むメディカル・エンターテイメント作品。デビュー作ながら文章もこなれていて読みやすい。スキマ時間に軽く読むのにも最適ですよ。

 

東城大学医学部付属病院の“チーム・バチスタ”は心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門の天才外科チーム。ところが原因不明の連続術中死が発生。高階病院長は万年講師で不定愁訴外来の田口医師に内部調査を依頼する。医療過誤死か殺人か。田口の聞き取り調査が始まった。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞

 

 

ハーモニー

近未来の管理社会、絶望的なユートピアの限界を描いた伊藤計劃の傑作SF小説。無機質で独特の世界観と洗練された描写で高い評価を受けた第30回日本SF大賞受賞受賞作でもあります。近年のSF小説の中でも間違いなく5本の指に入ると感じました。それほどまでに著者のレベルは違う次元に到達しています。

 

21世紀後半、〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、 人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。 医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、 見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア"。 そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した―― それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、 ただひとり死んだはすの少女の影を見る―― 『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。

 

 

オレたちバブル入行組

大ヒットドラマ「半沢直樹」の原作小説であり池井戸潤の名前を日本中に知らしめた著者の出世作です。これでもかというほど勧善懲悪の基本に忠実に描かれた胸のすくような展開が読者に爽やかな読後感を与える娯楽小説の到達点とも言うべき作品。やられたらやり返す、十倍返しが最高に気持ちの良い一作。

 

大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。そんな世代へエールを送る痛快エンターテインメント小説。

 

 

Another 

オカルトとミステリの高いレベルでの融合を図った綾辻行人の新境地を開いた長編本格ホラー小説。学園ミステリというありがちな題材でありながら超常現象を絡めて独自性を打ち出していて、新鮮味がある。読みやすいのがいいけどある程度ガッツリ読みたいという欲張りなあなたにおすすめ。

 

夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい何が起きているのか!?いまだかつてない恐怖と謎が読者を魅了する。

 

 

霧が晴れた時

今は亡きSF・ホラー界の重鎮小松左京の自選短編集。昔の作品が多いだけあって題材や設定に多少古臭さを感じるものの、恐怖小説としては全く陳腐化しておらず今でも十分通用する名作揃いです。同氏の入門作としても最適な一冊。

 

太平洋戦争末期、阪神間大空襲で焼け出された少年が、世話になったお屋敷で見た恐怖の真相とは…。名作中の名作「くだんのはは」をはじめ、日本恐怖小説界に今なお絶大なる影響を与えつづけているホラー短編の金字塔。

 

 

これはペンです

芥川賞SF作家円城塔の中編集。表題作は「よく読むと意味のない文章を自動で生成する装置」を生み出した叔父と姪との話。実はこの話自体がその装置で描かれたのではないかと思わせるような不思議な感覚を読者に与える秀作です。読みにくいといわれる円城作品の中でも比較的短く読みやすいのが特徴。

 

叔父は文字だ。文字通り。文章自動生成プログラムの開発で莫大な富を得たらしい叔父から、大学生の姪に次々届く不思議な手紙。それは肉筆だけでなく、文字を刻んだ磁石やタイプボール、DNA配列として現れた―。言葉とメッセージの根源に迫る表題作と、脳内の巨大仮想都市に人生を封じこめた父の肖像「良い夜を持っている」。科学と奇想、思想と情感が織りなす魅惑の物語。

 

 

 

ワイルド・ソウル

日本政府に見捨てられ騙されアマゾンに放り出されたブラジル移民がメディアを巻き込み外務省への復讐を画策する垣根涼介渾身の快作。圧倒的なスケールと躍動感あふれるテンポの良さで読者をグイグイ引っ張っていきます。一度読みだしたら止まらない物語の「勢い」が感じられる作品です。

 

その地に着いた時から、地獄が始まった――。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは、政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す! 歴史の闇を暴く傑作小説。

 

 

いかがでしたか?明るい作品から暗い作品、軽い作品から重たい作品まで様々な小説をチョイスしていますが、どれも自信をもってお勧めできるものばかりです。皆さんが様々な作品に触れて、少しでも読書を楽しむ手助けになれば幸いです。最後に、こんなに長い記事を最後まで読んでいただいて本当にありがとうございます。お疲れさまでした。