そらいろ!

そらいろ!

たまに見出しがしゃべったりします。

「無知な有権者」が一番望ましい

 

大阪に始まり、日本全体を巻き込んで大きな潮流を生み出した一人の政治家の役目が終わった。

 

私は大阪に住んでいるわけではないし、今回の争点となった大阪都構想についても深い知見や明確な意見を持っているわけでもない。どちらにしても、住民投票で決まったことに対してとやかく言うつもりはないし、もし実現していたらなんて議論自体不毛で無意味なものだ。

 

投票結果はかなり拮抗していた。それだけ賛否が分かれ、議論を巻き起こし、皆が地域の政策について考えるきっかけを作っただけでも大きな意義があったと思う。

 

で、今回は年齢層ごとの投票結果が話題になった。住所が変わって面倒。バスが有料化されるかもしれないとかいう。あくまでその可能性があるというだけ。そもそも敬老バスは特別区に引き継いで続けるとは言っていたし、なくすなんて誰も言っていなくても。ただ新区長の権限で、もしかしたらなくなるかもねと。たったそれだけで世論は動く。でもそれはあらかじめわかっていることで、選挙に勝つにはすべて織り込んだうえで戦略を練るのが当たり前であり敗戦の言い訳にはできないだろう。

 

でも結果的にはそれで負けることになってしまった。それほどの僅差だった。もし「お年寄りは死ぬまでバス無料です」と言っていれば、間違いなく結果は変わっていただろう。だから老人を批判したいとかそういうことではなくて。そもそも、自分なりの明確な根拠をもって賛成、反対を投じた人がどれだけいるのだろうかという話。

 

 

民主主義をやるなら、投票する人たちはそれぞれの案のメリット、デメリットを十分精査した上で、自分なりに考えて、色々な人と議論をして、自分の信条に基づいた最善の判断を下さなければならない。でも現実にそんな人はほとんどいない。

 

実際は大多数の人が「なんとなく」「テレビで言ってるから」こんなものだ。もしくは「どうせ変わらない」などと自分の無知を棚に上げて考えるのをやめてしまうか「お金あげます」的な目先の甘い言葉につられてしまう。大半の有権者はどちらが本当に自分の利益になるかなんて考えてもいないし真面目に考える気もない。判断材料になるような知識も持たなければ自分で調べようともしない。残念ながら政治家たちはそこまで親切には教えてくれない。まともに理解しようと努力もしない人たちに一生懸命教えてあげたところで当然選挙には勝てないし第一自分たちに都合の悪いことは言おうとしないだろう。そもそもそんなことをするより、「あいつらはこんな悪いことをしようとしている」と対立陣営のネガティブキャンペーンでもやった方が何百倍も効果がある。

 

そういう点でいえば、ネットの掲示板やはてブ、ヤフーのコメント欄などで議論している人たちの方がよっぽど建設的だろうと思う。

 

じゃあどうしたらいいんだと言われても、残念ながら即効的な解決策は存在しない。これは一人一人の意識の問題だから。

 

でも、無知なことは悪いことばかりではない。むしろ一部の人たちには非常に感謝される。それは、投票される側の人たちだ。指導者の視点で見てみれば一転してこういった「無知な有権者」にこそ一番の価値が生まれる。どんなに優れた政治家のどんなに素晴らしい政策にも不備や弱点はあるしその上で選挙を戦わなければならない。それを通りすがる人たちにいちいち指摘されていたら仕事にならない。だからこそ、煽動されやすく、聞こえのいいことを言っておけばとりあえず票をくれる人たち。声をかけたり握手をしただけで票を入れてくれる人たちは本当にありがたい。そう、政治家たちにとっては「無知な有権者」が一番望ましいのだ。そう考えれば、あまり気にすることでもないか。